第六章 意志決定
Kさんは、しばらく考えて、「2」を選択した。
やはり、将来にさらなる出費を見込むことは不安が残ることと、水道・ガス・電気といった生活に欠かせない「ライフライン」に関わる工事を行うには、入居前のタイミングがベストだと考えられたようだ。
私はKさんの意志決定は賢い選択だと思った。
使用頻度にもよるが、ガス給湯器の平均寿命はおよそ15年、その後は洗面化粧台、キッチン、ユニットバス、などが次々と交換時期を迎える。
今、Kさんが購入しようとしている中古マンションは築後25年が経過している。
思いの外近い将来に水廻り設備の交換が必要になる。
もし今回の機会を見送って現況のまま入居すれば、2~3年後に住宅設備機器と関連する配管類を交換する工事を日常生活を送りながら行うことになる。
この場合、工事に注ぐ費用と時間が今回よりも嵩むことは明らかだ。
かかる費用だけではなく、在宅でのリフォーム工事は作業員の出入り・騒音や粉塵によって、予想以上のストレスと工事期間中の使用制限でかなりの不便さを感じることになる。

Kさんと私たちは「当初の予算はオーバーするが、水廻りの設備機器類と経年で劣化した配管類のインフラを全て更新する」リノマンションの考え方で取り組む方針で合意した。
とはいえ、「人生最初で最後の大きな買い物」の予算管理は最優先されなければならない。
いかに全体の費用を抑えるか、そのための合理的なレイアウトと素材の選択がキーポイントになると思った。
とりあえず図面上で無料概算見積りを承ることにした。
45㎡のマンションをスケルトンリフォームする場合の積算と見積もり作成の作業には、数日の時間が必要となる。
Kさんのスケジュールと作業時間を調整して、一週間後に再びご来店頂くことになった。
そして最後にすでに見積もりを依頼した「A社」「B社」を含めて、これから見積もりを依頼するリフォーム会社に対して「同じ施工条件で合い見積もりを取って頂きたい」とお願いした。
Kさんは「あと2、3社から見積もりをとります」と言い残してお帰りになった。
そうか、、5社の戦いになるのか・・・。






